1-ブロモプロパンの初期リスク評価報告書が公表されました

2020年3月12日に、厚生労働省より、「2019年度化学物質のリスク評価検討会報告書」が公表され(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10087.html)ました。報告書は同公表サイトにリンクがございます(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10072.html)。同時に、関連工業団体には、「リスク評価結果等に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について」の通知が送付されました。
(これらの情報は、当協議会ウェブサイト内(国内外トピックス→MHLW関連)にてご覧いただけます)
通知内には、1-ブロモプロパンを使用する事業者に対し、「…速やかにリスクアセスメント(カッコ内略)を行い、その結果に基づいて、安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。」と記載されております。
ほぼ同様の通達は、昨年3月29日にも発表されております。(こちらの通達も、当協議会ウェブサイト(関連法規→1-ブロモプロパンに適用される主な慣例法令等→nPB checked 2019-3-29)にてご覧いただけます)。
本通達及び今回のリスク評価検討報告書により1-ブロモプロパンの使用が禁止されたり、規制や、法律上の作業環境濃度の基準値が決められたわけでもありません。
では、具体的にはどのようなことをしなくてはいけないのでしょうか。
また、この評価書・通知の公表により、何が変わるのでしょうか。

まず、関連条文の記載を確認すると、以下のとおりとなります。
第576条 …作業場においては、その原因を除去するため、代替物の使用、作業の方法又は機械等の改善等必要な措置を講じなければならない
第577条 …発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない。
第593条 …当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない。
第594条 …当該業務に従事する労働者に使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履(はき)物等適切な保護具を備えなければならない。
ご参考までに、これらの条文は、近年新たに作成されたものではありません。
まとめると、「暴露を適切にコントロールできるような用途を順守すること」、ということになるかと思います。
1-ブロモプロパンをご利用の方々は、既に実施・もしくは実施予定のことかと存じますが、これはリスクアセスメントに基づき、各社が独自で判断・設定するものです。
また、条文においても、公表された報告書においても、特に使用の制限や新たな規制値を設定したという記載はありません。「詳細リスク評価を行う予定である」旨が3月12日の通知にて述べられておりますが、これは、規制値を設定する必要があるかをさらに検討するため、であると考えられ、現時点でも、将来何らかの規制がかかることが決定・確定されているわけではございません。
従いまして、これまで通り、「暴露を適切にコントロールできる用途を順守していただく」限りは、これまでと同様にご利用いただけます。
尚、化学物質のリスクアセスメントの実施に当たり、以下厚生労働省様の職場の安全サイトの化学物質のリスクアセスメント実施支援のサイトがご参考になります。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm
更に、当協議会では、リスクアセスメントまたは暴露のコントロールについての対策に使用できる物性値や保護具などの情報を当協議会ウェブサイト内に掲載(1-ブロモプロパンとは)しておりますので、ご参考にしていただければ、と思います。
以上。