nPBとは

normal Propyl Bromide(ノルマル プロピルブロマイド)のそれぞれの頭文字により表された略称で、以下の構造式並びに化学式を持ちます。

(CH3-CH2-CH2-Br)

IUPACが推奨する化学品名呼称では、1-bromopropane(1-ブロモプロパン)と称します。またnPB,1-BP等の略号で称する場合があります。

特徴

無色~淡黄色・透明で粘性はありません。
ハロゲン溶液に共通の臭気あります。
引火点を持たない→消防法上の分類に属しません。
油脂類に対する溶解性が高いです。
適度な沸点を持ちます。(71℃)
化学的に比較的安定であるが、加水分解により強酸であるHBrを生成する可能性があります。

nPBの製造方法

nPBの工業的製造法は、ノルマルプロピルアルコール(nPA)からのアルコール脱水付加が一般的です。

CH3-CH2-CH2-OH(液体)+ HBr(気体) → CH3-CH2-CH2-Br + H2O

副生成物とその除去

上記の反応ともに、主として以下の副生成物が製造されます。

CH3-CHBr-CH3 (2-ブロモプロパン)

Brの付加が1位(アルキル鎖の一番端のC)に起きず、2位(真中のC)に付加されてしまうもので、避けられない副生成物です。しかしながら現状の製造工程では、2-ブロモプロパンの生成は、極微量な量となっています。

洗浄溶剤は、この原料に起因する溶解性のみならずその原料があわせ持つ性質に応じて添加される添加剤(安定剤)処方によって各社より商品化されています。安定剤が無くなった状態で洗浄を続けると、被洗浄金属の腐食→液の急激な酸化劣化(黄変)→洗浄槽内面の腐食が起こり、大きなトラブルの原因となる場合があります。

近年では、環境対応やVOC対策として完全密閉型真空洗浄機が多く流通されるようになり、ワークが持ち出すロスや液の追加投入が最小限に抑えられるようになっており、環境やランニングコスト面で有用です。

1-ブロモプロパンの基本物性と他洗浄剤との比較

  1-ブロモプロパン 炭化水素系 トリクロロエチレン 塩化メチレン HCFC225
分子量 123 140-160 131.4 85 203
沸点() 71 170-200 87 40 54
凝固点() -110 -30 -86.4 -96.7 -131
比重(25/25℃ 1.35/1.33 0.74 1.46 1.33 1.55
粘度(cp 0.49 0.9-1.2 0.54 0.43 0.59
表面張力(mN/m) 25.9 21-24 26.4 28.2 16.2
比熱(cal/g) 0.27 0.52 0.22 0.28 0.24
蒸発潜熱(cal/g) 58.8 65 57.2 78.7 34.6
蒸気圧(mmHg,20℃) 110 100 57.8 400(24℃) 283(25℃)
水への溶解度
(g/100g 水,25℃)
0.24 0.11 1.32 0.033
水の溶解度
(ppm 25 ℃)
550/900 500 300 2000 310
誘電率 8.09 7.24 3.27 8.93 4.14
引火点(℃) なし 53-100 なし なし なし
燃焼範囲(vol.%) 3-8 0.6
– 5.5
9-45 14
– 22
なし
KB値 125 14-19 129 136 31